同じものを売り続けるときはお客様(マーケット)を変える

昨日はほぼ日手帳について書いたんですが、今日は「手帳」という話題について書きたいと思います。

毎年だいたい10月頃から年末にかけて、翌年の1月からはじまる手帳の販売がはじまりますよね。

書店やコンビニには特設の売り場スペースが用意されて、「お!もうそんな時期なんだなぁ」とか思うわけです。

売れる季節なので売る側はその時期を逃さないようにしっかり作戦を立てているんですよね。

で、同じ頃、雑誌やテレビ番組などの特集で「手帳」が扱われたりします。

僕も何年か前の秋に手帳特集の雑誌を買って、「おーなるほど、手帳はそういう使い方もできるんだ」とか勉強して、どんな手帳を買うか決めました。

翌年、秋口になると書店やコンビニに手帳が並びはじめ、「手帳」を特集した雑誌をたくさん見かけました。

1年間手帳を使ってみて、その便利さや効果に感動していた僕は、もっとスゴイ手帳の使い方が紹介されていないかと思い、雑誌を手にとってみました。

すると驚いたことに、そこに書かれていたのは1年前とほとんど同じ内容でした。

大手企業の社長や重役が実際にどのように手帳を使っているかという紹介記事も多くあり、もちろんその内容が1年前と同じということはなかったのですが、その他の記事は表現を少し変えただけで中身はあまり変わらない情報でした。

考えてみると当たり前のことで、本当に伝えるべき内容はあまり変わりようがありません。

手帳そのものの用途や性能が大きく変わらない限り、伝える内容は変わらないのです。

でも時期になるとその情報が欲しくなる人がにわかに増えるので、1年前とほとんど内容がかわらない情報の雑誌でも売れるんですよね。

この雑誌を買うお客様ってどんな人かな、って考えてみました。

最初に思い当たるのが、来年から新しい生活スタイルになる人。就職とか進学とかで。

それと、生活スタイルがかわらなくても、数年前の僕と同じように、これからスケジュール管理を手帳でやってみようかな、って思っている人がいますよね。

それから、今手帳を使っているけどあんまり使いこなせてないな、と思っている人。来年の手帳を買う前に本当に自分は手帳を使いこなせるのか、って勉強したい人もいそうですね。

あと、あまり多くはないと思うんですが、「手帳のことが大好き」っていう人も買うと思うんですよね。「ちょっとしたことでも手帳に関することなら何でも知っておきたい!」っていう人が。

最後の手帳大好き!の人は別として、毎年手帳のことをよく知りたい人が入れ替わってるので、同じ内容の特集でも雑誌が売れるんですね。

「お客さんが自動的に入れ替わる」というのがミソだと思うんです。

同じものを同じ売り方で売る場合は、お客様が変わらないと飽和状態になったり飽きられたりしてしまいます。

でも、「お客様が違う」ということがはっきりしている場合は、全く同じ内容で売ることができて効率的です。

例えば移動販売車は自分が販売する場所を変えることでお客様を入れ替えているし、フランチャイズなどは各地に店舗をたくさん作って別のお客様を集めているから同じものを同じ売り方で効率よく売ることができるんですね。

逆に、地域密着の飲食店や小売店などは、お客様を変えることが難しい場合があります。同じ商品を同じ売り方で売っていると、いずれ売るのが難しくなってしまいます。

そんな時は「売るもの」「売り方」のどちらかを変えてみるとまた売れるようになるかもしれません。またはリピーターにもっと買ってもらえるような対策も考えられますね。